戦火の記憶


この作品のモチーフはコソボ紛争において、1999.4.3ベオグラードでおきた空爆です。
この時に多くの政府関係のビルが炎上する影像が流れました。
その後、何万人もの難民があふれ、家族がはなればなれに各地のキャンプに収容され、
赤十字がつくった伝言の壁に居所を捜すメモが一面に貼られました。
その人々の貼ったメモの波に、紙きれに託された人々の強い祈りを感じ、心打たれました。
はかなく薄い布を何重にも重ねることであらわしたかったのは、
弱い立場の人それぞれの祈りがつながってできるであろう人間らしい世界。
この作品を見ていただいた方に世界で起こっている様々な悲惨なことを思い起こすきっかけになること、
そしてそれが記憶されつづけることを祈っています。

Silk　Natural dye　H260 × W235